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最高裁判所第三小法廷 昭和31年(あ)3058号 決定

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人宮井親造の上告趣意は、高裁判例違反及び違憲をいうが、所論の高裁判例は既に当裁判所判例(昭和二七年(あ)二二〇七号同三二年二月七日第一小法廷決定・刑集一一巻二号五二二頁)によって変更されておる上に記録によれば(二一八丁)、弁論再開申請書の上欄に否として裁判長及び両陪席裁判官の押印があるから却下の決定があったものと認められる(この種の決定は必ずしも裁判書を別途に作成する必要はない。)。そして刑訴規則二一四条によれば再開請求却下決定の送達は必要でないから告知がなかったとしても何ら違法ではない。而も宮井弁護人は原判決の言渡期日に出廷しており(二一九丁)、この却下されたことは当然了知していたものと認められる。違憲論はその前提を欠く。その他は量刑の非難であって、所論は刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 河村又介 裁判官 島 保 裁判官 垂水克己 裁判官 石坂修一)

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